導入文
「今の仕事に将来性がない」「手に職をつけたい」と感じながらも、IT業界は未経験だからと躊躇していませんか?
実は、IT未経験からのキャリアチェンジは十分に可能です。特にSES企業(システムエンジニアリングサービス企業)は、未経験者を積極的に採用し、実務を通じた教育を行う企業が多くあります。
ただし、SES企業への入社にはメリットだけでなく、知っておくべき注意点も存在します。本記事では、28~35歳の非IT職の方が、キャリアチェンジを成功させるために必要な知識をすべてお伝えします。
実務経験を積みながら技術を身につけ、将来的には年収アップや独立も目指せる。そんなIT業界への道を、一緒に考えていきましょう。
このページを読むことで得られるもの:
✓ SES企業の実態と入社後のリアルな働き方
✓ 未経験から最短で活躍するための準備方法
✓ 年収・スキル・キャリアの現実的な見通し
✓ あなたに合った学習方法とスクール選びのポイント
IT未経験からSES企業入社を検討する前に知っておくべきこと
SES企業とは?基本から理解する
SES企業について正確に理解することが、キャリア判断の第一歩です。
SES(System Engineering Service)企業とは、クライアント企業のシステム開発プロジェクトに、エンジニアを派遣する企業です。自社でプロダクト開発をするのではなく、人材派遣がビジネスモデルの中心となります。
具体的には、SES企業に入社したエンジニアは、クライアント企業の現場に配置され、その企業のプロジェクトに参画します。例えば、大手銀行のシステム更新プロジェクトや、自動車メーカーの組込みシステム開発など、様々な現場で実務経験を積むことになります。
重要なのは、SES企業は「人材育成」と「派遣」の両方を行うということです。特に未経験者を採用するSES企業の場合、入社後の研修や先輩エンジニアのサポートが充実していることが多いです。
SES企業が未経験者を採用する理由
「なぜSES企業は未経験者を採用するのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。この理由を理解することで、SES企業でのキャリアの現実性が見えてきます。
第一に、IT業界全体が人材不足です。経済産業省の調査によれば、2030年には約79万人のIT人材が不足すると予測されています。この背景から、SES企業は未経験者を採用し、育成することで人員確保を行っているのです。
第二に、SES企業のビジネスモデルでは、派遣エンジニアの単価が重要です。未経験者を採用して育成し、スキルを高めることで、派遣単価を上げることができます。つまり、SES企業にとって未経験者の育成は、長期的な投資と言えるのです。
第三に、クライアント企業の側にも、未経験者を受け入れるニーズがあります。大規模プロジェクトでは、単純作業や補助業務も多く存在し、これらを未経験者に任せることで、経験者をより高度な業務に集中させることができるからです。
IT業界の労働市場と年収の現実
IT業界への転職を考える際、年収や労働条件は重要な判断基準です。現実的な数字を知ることで、期待値を適切に設定できます。
厚生労働省の調査によれば、2023年のIT業界の平均年収は約450万円です。これは全産業平均の約430万円よりも高い傾向にあります。ただし、未経験から入社した場合、最初の1~2年は年収300~380万円程度からのスタートになることが多いです。
SES企業での年収は、派遣先企業の単価と勤務時間によって決まります。つまり、同じSES企業に所属していても、派遣先によって年収が異なることもあります。平均的には、未経験者が入社後2~3年で年収400万円前後に到達することが目安です。
重要なのは、SES企業での経験が、その後のキャリアに大きく影響するということです。SES企業で実務経験を積み、スキルを身につけた後、年収がより高い企業への転職を目指すことも可能です。実際に、SES企業で3~5年の経験を積んだエンジニアが、自社開発企業に転職して年収が50~100万円上がるケースも珍しくありません。
IT未経験からSES企業入社のメリット
実務を通じた実践的なスキル習得
SES企業に入社する最大のメリットは、実務を通じて実践的なスキルを習得できることです。
プログラミングスクールで学ぶ知識も重要ですが、実際のプロジェクトで求められるスキルは、スクールでは完全には教えられません。例えば、バージョン管理システムの使い方、チーム開発での協働方法、デバッグ技法、本番環境への対応など、実務ならではの学習機会が豊富にあります。
SES企業の多くは、未経験者向けに充実した研修プログラムを用意しています。例えば、入社後1~3ヶ月間の基礎研修で、プログラミング言語の基本やIT業界の常識を学び、その後実際のプロジェクトに配置されるという流れが一般的です。
また、派遣先企業の先輩エンジニアからの直接指導も大きなメリットです。実務経験豊富な先輩の側で働くことで、スクールでは学べない「仕事のやり方」「プロフェッショナルとしての心構え」を学ぶことができます。
給与をもらいながら技術を身につけられる
プログラミングスクールに通う場合、月1~3万円の学費がかかります。28~35歳の方であれば、現在の仕事を辞めてスクールに通うか、働きながら学ぶかの判断が必要です。
SES企業への入社の場合、給与をもらいながら技術を身につけることができます。これは経済的な負担を大幅に軽減できるメリットです。
例えば、月給35万円でSES企業に入社した場合、年間420万円の給与を得られます。一方、プログラミングスクールに月2万円で6ヶ月通う場合、12万円の学費がかかります。実質的には、SES企業での勤務の方が経済的に有利です。
さらに、SES企業では福利厚生も充実していることが多いです。社会保険、厚生年金、有給休暇など、正社員として働く安心感も得られます。
多様なプロジェクト経験で視野が広がる
SES企業に勤務する大きなメリットとして、様々な企業、様々なプロジェクトを経験できることが挙げられます。
金融機関のシステム開発、自動車メーカーの組込みシステム、Webアプリケーション開発、インフラ構築など、異なる業界・技術領域でのプロジェクトに参画することで、幅広い知識と経験が身につきます。
この多様な経験は、その後のキャリア選択肢を広げます。例えば、Webアプリケーション開発の経験を積んだ後、その分野に特化した企業への転職を目指すなど、自分の適性と興味に合わせたキャリアパスを描くことができるのです。
また、複数のプロジェクトを経験することで、業界知識も深まり、「どの技術領域で専門性を磨きたいのか」という判断がしやすくなります。
人脈形成と業界ネットワークの構築
SES企業での勤務を通じて、IT業界の広いネットワークを構築できることも大きなメリットです。
派遣先企業の先輩エンジニア、同じプロジェクトに参画する他社のエンジニア、SES企業の同期社員など、様々な人間関係が生まれます。これらの人脈は、将来的な転職活動やキャリア開発において、貴重な資産となります。
実際に、派遣先企業の人間関係が良好であれば、その企業への転職につながることもあります。また、業界内での評判や信頼が築ければ、より良い条件の企業からのヘッドハンティングを受けることもあるでしょう。
IT未経験からSES企業入社の注意点とデメリット
SES企業の「ピンハネ」と給与体系の問題
SES企業について調べると、必ず目にするのが「ピンハネ」という言葉です。ここで、この問題について正直に説明します。
SES企業は、派遣先企業から「エンジニアの派遣単価」を受け取ります。例えば、派遣先が月80万円でエンジニアを受け入れる場合、SES企業はその80万円の一部を自社の利益とし、残りをエンジニアの給与として支払うというビジネスモデルです。
この「差額」が「ピンハネ」と呼ばれるもので、一般的には派遣単価の20~30%がSES企業の利益となります。つまり、派遣先が月80万円で受け入れるエンジニアの場合、実際の給与は月56~64万円程度になることもあります。
ただし、これは派遣業界全体の仕組みであり、違法ではありません。むしろ、SES企業が研修費用、福利厚生、営業活動など、様々なコストを負担していることを考えると、ある程度の差額は必要なのです。
重要なのは、SES企業を選ぶ際に、「給与体系が明確か」「派遣単価と実給与の関係が透明か」を確認することです。優良なSES企業であれば、このことについて明確に説明してくれるはずです。
派遣先企業の選定と配置の不確実性
SES企業に入社した後、実際の配置先がどこになるかは、入社時点では確定していないことが多いです。これは、大きなリスク要因となり得ます。
例えば、「Webアプリケーション開発を学びたい」という希望を持って入社しても、実際には組込みシステムの開発プロジェクトに配置されるかもしれません。また、通勤に2時間以上かかる現場に配置されることもあります。
優良なSES企業であれば、本人の希望やスキルレベルを考慮して配置先を決定し、配置後も定期的に面談を行い、必要に応じて配置変更を検討してくれます。しかし、すべてのSES企業がこのような対応をするわけではありません。
入社前に、「配置先の決定プロセス」「本人の希望がどの程度考慮されるのか」「配置変更の仕組み」などを、採用担当者に詳しく聞くことが重要です。
スキル習得の計画性と自己啓発の必要性
SES企業での勤務は、実務を通じたスキル習得ができる一方で、「受け身」になってしまうリスクがあります。
配置されたプロジェクトの内容に左右されるため、体系的で計画的なスキル習得が難しいことがあります。例えば、同じテスト業務に3年間従事することになれば、新しい技術を学ぶ機会に恵まれないかもしれません。
したがって、SES企業に入社した後も、自分自身で学習計画を立て、業務外の時間で積極的に技術習得を進める必要があります。これは、月1~2時間の学習時間が確保できる方にとっては、現実的な課題です。
優良なSES企業であれば、業務時間内での学習機会や、外部研修への参加支援なども行っていますので、このような制度の有無も確認しましょう。
キャリアの固定化と転職時の評価
SES企業での経験は、その後のキャリアにおいて、必ずしも高く評価されるとは限りません。これは、知っておくべき重要なポイントです。
自社開発企業やWebアプリケーション企業の採用担当者の中には、「SES企業での経験は、実務経験とは認めない」という見方をする人もいます。特に、テスト業務や単純な保守業務しか経験していない場合、その傾向が強くなります。
一方、SES企業で設計やコード実装など、高度な業務に従事した場合は、その経験は高く評価されます。つまり、SES企業での経験がその後のキャリアに活きるかどうかは、配置先と従事した業務の内容に大きく左右されるのです。
この点を踏まえると、SES企業に入社する際には、「将来的にどの企業に転職したいのか」「そのために今から何を経験しておくべきか」を明確にしておくことが重要です。
労働環境と企業ガバナンスの差
SES企業の中には、労働環境が十分でない企業も存在します。これは、業界全体の課題でもあります。
具体的には、以下のような問題が報告されています:
- 派遣先の都合による急な配置変更や、長時間労働の強制
- スキル習得の機会が限定的で、単純労働に従事させられるケース
- ハラスメントや不当な待遇に対する相談窓口が不十分
- 給与や昇進の基準が不透明
これらの問題を避けるためには、入社前に企業の評判を調べ、可能であれば現職の社員の話を聞くことが重要です。Glassdoorなどの企業口コミサイトや、転職エージェントの情報も参考になります。
IT未経験からSES企業入社に必要な準備と学習方法
SES企業の採用選考で求められるスキル
SES企業の採用選考では、実務経験よりも「基礎知識」と「学習意欲」が重視されます。未経験からの入社を目指す場合、どの程度の準備が必要なのかを理解しましょう。
一般的に、SES企業の採用選考で求められるのは、以下のような内容です:
- プログラミングの基礎知識:変数、条件分岐、ループなどの基本的な概念を理解していること
- 簡単なコード実装:Java、C言語、Pythonなどで、簡単なプログラムが書けること
- IT業界の基本知識:ネットワーク、データベース、システム開発の流れなど
- 学習意欲と適応力:未経験からのキャリアチェンジに対する真摯な姿勢
- コミュニケーション能力:チーム開発では必須のスキル
完全に未経験の状態からSES企業の採用選考に臨むことも可能ですが、基本的なプログラミング知識を身につけておくと、選考での競争力が大きく高まります。
プログラミングスクールの活用
SES企業入社前に、プログラミングスクールで基礎を学ぶことは、非常に効果的です。ここでは、スクール選びのポイントを説明します。
28~35歳の方が、平日1~2時間、週末3~5時間の学習時間で学べるスクールを選ぶ際には、以下のポイントが重要です:
1. 受講形式の柔軟性
オンライン形式で、自分のペースで学習できることが重要です。決まった時間に教室に通う必要がないスクールを選びましょう。
2. SES企業への転職支援
スクール卒業後、実際にSES企業への転職を支援してくれるかどうかが重要です。転職支援が充実しているスクールであれば、採用選考の対策も受けられます。
3. 実践的なカリキュラム
理論だけでなく、実際のプロジェクト開発を想定したカリキュラムが組まれているかどうかを確認しましょう。
4. メンターサポート
学習中に質問できるメンターがいるかどうかは、モチベーション維持に大きく影響します。
以下は、未経験からSES企業への転職を目指す方に適したプログラミングスクールの比較です。

